トールペイント
黒田 あつ子 先生
「トールペイント」というクラフトには、誰でもそれが可能になるノウハウが詰まっています。
ご担当される「クラフト」を体験する、作品を作る、魅力はなんですか。
昔からきれいな色や絵を観るのが大好きでしたが、自分に絵が描けるとは思っていませんでした。それがトールペイントに出会い、「自分の手」で生活雑貨を彩り、絵を描く術を習得することができました。
私にとって、デザインを考え、色彩についての計画を練り、一歩ずつ描き上げていく作業や、出来上がった時のうれしさ、またそれを生徒さんたちと共有できる喜びは、何にも替え難いものです。
先生がこの「クラフト」をつくろうと思われたきっかけや出会いがあればお聞かせください。
1990年ごろの春だったと思いますが、カルチャースクールの体験セミナーの広告を目にしました。お盆にデイジーとチェリーをアクリル絵の具で描く作品でしたが、吸い寄せられるように申し込み、そのままお教室にも入会しました。
その2年後、油絵具で描いた作品を目にし、そのリアルさと色の深み、美しいグラデーションに魅せられ、どんどんオイルによる作品づくりにのめり込んでいきました。あまり器用な方ではないので、お教えする立場になってからは、本当に好きな油絵具による絵付け一筋でやらせていただいております。
クラスではどういった指導をこころがけていますか。
絵付けの基礎となる木の下準備に始まり、色の塗り方や筆使い、ブレンドの方法などを丁寧にお教えするのはもちろんですが、色を混色する際、どうしてAの色とBの色を混ぜるのか、また、その作品全体の配色のやり方など、セオリーの説明にも力を入れています。
生徒さんたちには、ただ習った作品を模写するだけでなく、ご自分で考える力を身につけ、オリジナル作品を制作する喜びを知るところまでいっていただければ、こんなうれしいことはないと思っています。ですので、基本のレギュラーコースを終えられた方向けの「オリジナルデザイン」コースでは、デザインの仕方についてもさらに詳しくお教えしております。
また、私と同じように純粋に「描く」ことへの興味が深まってきた方のために、キャンバスに描く「クラシカルアート」というクラスも新設いたしました。このクラスは逆に、トールペイントをしたことがない方にとっても新鮮な「油絵」の描き方になると思いますので、チャレンジしてみていただければと思います。
これからはじめようと思っている方でメッセージをお願いします。
私が巷でよく耳にし、いつも心を痛めるのが、「私には絵心がないから…」という言葉です。でも、美術系の学校を出たわけでもなく、絵画教室に通ったこともなく、美術部ですらなかった私でもここまで来られました。
「トールペイント」というクラフトには、誰でもそれが可能になるノウハウが詰まっています。基本的には図案も使用する色も決まっているので、「塗り絵」感覚で作品を作り上げる喜びを味わうことができます。
特に「オイル」は難しいサイドローディングなどの訓練も必要なく、乾きが遅いのを利用してゆっくり描けるので、本格的な見た目とは裏腹に初心者にも取り組んでいただきやすいと思います。
まずは気軽にのぞいてみていただき、誰にでもでき、しかも望めば一生かけて取り組むことのできる奥深さも併せ持つ「オイルによるトールペイント」の魅力に触れてみていただければと思います。
全米デコラティブペインターズ協会(SDP)主催のコンテストにて1995年より5年連続入選の内、1位を1回、3位を2回受賞し、DACAの称号を授与される。SDPの技術認定試験では2003年に最高峰のMDAに合格。描き方のみでなく色彩学を取り入れた、デザインや混色の基本から説き起こすレッスンに定評がある。
黒田あつ子先生のホームページ→
黒田あつ子MDAオイルペインティング